鹿の舟のいま

依水園

東大寺のほど近くにある名勝「依水園」。

 

四季折々の風景の移り変わりをお楽しみいただけます。

 

周囲の雰囲気から切り取られたような、日本庭園の空間を楽しむ前庭、

若草山や東大寺南大門を借景に取り込み、広く景色を楽しめる後庭、

作庭された時代の異なる2つの庭園を堪能していただけます。

 

どの場所から眺めても丁寧に手入れが施された美しい景色が広がります。

 

 

木々に映える紅葉の美しさはもちろんですが、

落ち葉が重なる様も鮮やかで、足元からも秋を感じられます。

 

依水園落ち葉.JPG

 

 

前庭は、奈良晒を取り扱っていた清須美道清氏が、

江戸前期、依水園の南に位置する吉城川のそばに煎茶を愉しむために別邸を移築し、

お庭を造園したのが始まりとされています。

 

依水園前庭.JPG

 

 

別邸は「三秀亭」という名で現存しており、

お庭を眺めながらお食事をいただくことができます。

 

前庭を通る際に聞こえる水の音、木々が風で擦れる様子はとても美しく、

奥ゆかしさを感じます。

 

茅葺き屋根の上には、きらきらと光を浴びたアワビの貝殻が何個も取り付けてあります。

 

貝殻は鷹の目を模しており、茅を巣作りや遊びに使うカラスを近づけないよう、

また、水につながる海の幸のアワビを、火事に弱い茅のお守りとして活用しています。

 

依水園では、このような昔からの日本人の知恵を目で見て楽しむことができます。

 

 

後庭は明治後期、実業家の関藤次郎氏によって作られました。

 

依水園後庭.JPG

 

 

借景の美しさがひと際素晴らしく、お庭越しに東大寺の南大門が頭を出しており、

とても見事な景色からは庭造りの奥の深さを感じられます。

晴れた日に池に映る花木や空の色は、お庭の奥ゆかしさをより引き立てます。

 

茶の湯と詩歌の会を愉しむため、季節の花木と共に

土砂を小高く盛り上げた人工の山や、お茶室、寄り付き、水車小屋などが配置されています。

 

 

この時代に2つの庭園を合わせて「依水園」と名付けられました。

 

奥行きがあり、滝や川から聞こえる水の音花木の彩豊かな庭園は、

秋はもちろんのこと、どの季節も見応えがあります。

 

 

今月13日より改修工事のため臨時休館になりますので、

今年、庭園を楽しめるのは残り数日となりました。

 

冬はすぐそばまで来ています。

依水園で秋の余韻と冬の訪れを感じてみてはいかがでしょうか。

 

依水園さざれ石.JPG

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