鹿の舟のいま

貝ボタン

美しい光沢の貝ボタン。

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貝ボタンは天然の素材ならではの輝きと、滑らかな手触りが特徴です。

貝がらを丁寧にくり抜いて作られているため、

1つ1つ異なる輝きを放ちます。

また、しっかりと磨かれたボタンは光沢が増し、

手になじむため、ボタンが留めやすいという特徴もあります。


奈良県は国内の貝ボタンの生産量日本一を誇ります。


貝ボタンは、明治20年ごろドイツ人によって、

港町の神戸に日本で初めて伝わりました。

その後、大阪や淡路島、奈良や和歌山にも伝わっていきました。


奈良県に貝ボタン製造が本格的に伝わったのは明治38年ごろでした。

県内の農家では、江戸時代から綿加工業が行われていましたが、

副業として貝ボタンが作られ始めました。

貝ボタンの産地である奈良県磯城郡川西町は6つの川に囲まれており、

そのうち大和川は、大阪湾に繋がっています。

昔は、材料の貝を運び入れ、出来あがったボタンを

大阪に運び出すために大和川が使われていたため、

海のない奈良でも、多くの貝ボタンを作ることができたのです。

川西町の貝ボタン産業は、和服から洋服への移り変わりと共に

大正初期に急成長し、一時は500軒近くもの業者があったようです。


しかし、昭和29年にポリエステルボタンが開発され、

昭和40年頃から本格的に流通し始めると、貝ボタンの生産が減少し、

現在では、川西町の貝ボタン業者はごくわずかとなりました。


貝ボタンには、高瀬貝、白蝶貝、黒蝶貝がよく使われ、

真珠貝やあわびも材料として使われています。

現在は、プラスチックのボタンが主流になっていますが、

貝ボタンにはそれらにはない魅力があります。


ボタンに目を向けてみると、服選びの楽しさがより広がります。


「観光案内所 繭」では、高瀬貝、あこや貝から作られた

貝ボタンを販売しています。

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高瀬貝ボタンは少し黄味のある白色で、虹色の光沢がとても綺麗です。

また、ボタンの裏側に貝の表面の赤や緑色の殻が残っているのが特徴です。

あこや貝は、主に真珠の養殖に使われる貝です。
薄く少し湾曲した風合いが特徴の真珠色の光沢のボタンに仕上がります。



職人さんによって生み出された貝ボタン。

是非手に取っていただき、風合いの違いをお楽しみください。

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