生活学校のお知らせ

第六回講座 「おくる」 ありがとうございました

2月18日(土)・19日(日)の2日間にわたり、
山口信博さん・山口美登利さんを講師にお招きし、生活学校「おくる」を開講いたしました。


一日目最初の講座では、
今回の特別ゲスト、東大寺総合文化センター・華厳学研究所の中西俊英さんをお迎えして、
「華厳経からまなぶ」というテーマでお話をいただきました。


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中西さんとの出会いは、今回の講座がきっかけでした。
山口さんより、華厳経にある「相即」の考え方は、折形にも共通しているということ、
華厳経の考え方やもの見方を知ることで、さらに、折形や日本の文化との関連性、
現代生活への気づきや学びが得られるのでは、とのお声をいただき、ご縁が生まれました。

奈良の代名詞である東大寺は、実は華厳宗の総本山。
中西先生は、わかりやすく丁寧に、華厳経の世界を紹介してくださいました。


まず、今回のテーマである「おくる」の言葉の意味が、
「他者(相手)を必要とする」営みであるということを確認しました。

そして、仏教が実践徳目(決まり)を守ることに加え、
他者という概念「他者原理」を組み込みながらどのように発展してきたか、
「華厳経」が生まれるまでの流れを説明いただきました。

華厳経のサンスクリット語による正式名称には、
「(無数の)仏の集団」という意味が含まれており、
「世界には仏が満ち満ちている」という考え方がベースにあるのだそうです。

そして、その華厳経のもつ思想的なエッセンスとして、
宇宙のすべては、すべて関係し合っている
一つはすべて、すべてはひとつ、
すべては心が現しだしたもの、
という3つをわかりやすく示してくださいました。

良い悪いや損得、その他様々な二項対立から抜け出して、
俯瞰的に、様々な視点から世界を見ることをまなぶこと、
世界をありのままに見つめることを、
「華厳経からまなぶこと」として、メッセージをいただきました。


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中西さんの講演後には、
山口さんとのトークセッションに移行しました。

山口さんがこれまでのご経験で、デザインというお仕事の中で、
また折形への探求から感じてこられた、
華厳経にも通ずる「相即」という概念について、
中西先生に質問をしながら、お話を深めていただきました。

受講生の皆さんからも、
日頃から感じてきた疑問や、華厳経の歴史に関する質問とともに、
話を聞いて腑に落ちた部分など、積極的にお話をいただき、
とても充実した時間となりました。


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午後からは、「包み、結び、贈る」というテーマで、
実際に「贈る側」「頂く側」の作法を実感するためのシミュレーションを、
まずは「おくりものごっこ」という形で体験いただきました。

代表して受講生お二人に協力をお願いし、
一人が「先生」、一人が「生徒」の役割を担い、
「中学校の時にお世話になった先生が、教頭先生に着任されたことを祝し、
先生のご自宅へお祝いに伺う」という設定のもと、
おくりものを選ぶ/手渡す/結びを解く/お返しのおくりものを選ぶ/手渡す/結びを解く、
という一つ一つを実際に演じていただきました。


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包み、結びに込められた意味、相手を思いやる気持ちを、
一つ一つの所作から感じ取ることのできる体験でした。

感じたことをそれぞれ胸に、
江戸の中期にまとめられた、伊勢貞丈の包結図説の序文を読み解きながら、
折形という礼法と、その思想について学び、いよいよ実践へ。
吉の包みと凶の包み、水引の結びを、山口美登利さんより教えていただきました。

和紙に対して身体をまっすぐに対峙し、一つ一つの工程を丁寧に確認しながら、
皆さん黙々と実践されていました。

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水引の結びでは悪戦苦闘される場面もありましたが、
いかに上手に美しくできるか、ということよりも、
包み、結ぶという行為に、「おくる側」その人の人柄や気持ちが宿っていくことを、
それぞれに実感いただくような時間になったのではないかと思います。


講座終了後は、竈での交流会。
来月に迎える上巳の節供を少し先どりして、白酒で乾杯!
ちらし寿司、蛤のお吸い物、春の山菜の天ぷらなど楽しんでいただきました。

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二日目は、午前より最後の講座がスタートしました。

昔から日本で大切に考えられてきた年に5回の「節供」。
今回は「上巳の節供」について、
元々は祓の行事より生まれたといわれる雛祭りの歴史的な背景、昔の暮らしの在り方、
今もそのモチーフとなっている菱餅や蓬餅の意味など、様々なエピソードを伺いながら、
昔の「上巳の節供」を新しく追体験するような時間となりました。


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その後、折形の実践に移り、揉み紙を使用した、桃の花を飾る「木の花包み」、
きな粉や小さなものを包む「きな粉包み」を教えていただきました。


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講座の最後には、実際にそれぞれお手製の「きな粉包み」にきな粉を入れ、
蓬餅にかけてお召し上がりいただきました。


昔から「五節供」では、その季節の植物の薬効を大切に活用してきました。
昔の人の生活の知恵、暮らしに思いを馳せ、
今回の講座受講をきっかけに、暦や節供について一歩踏み込んで、
より季節の営みを楽しんでもらえるようになればと思います。

参加してくださった皆さま、本当にありがとうございました!

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