五重塔・三重塔
法相宗の大本山である興福寺。
藤原家の氏寺として栄え、平安時代には南都七大寺に数えられ、
中世には大和国を支配するほどの勢力を持っていました。
「天平の美少年」といわれる阿修羅像をはじめ、多くの仏像を保有しており、
薪御能や鬼追い式などの伝統行事も行われています。
境内の建物も大半が国宝や重要文化財に指定されており、
奈良を語るうえで、とても重要なお寺になります。
境内を自由に散策できるため、いつも多くの方で賑わいます。
その興福寺の五重塔と三重塔の同時公開が
先週26日(金)から10月10日(月・祝)まで開催されています。
五重塔は天平2年に光明皇后が建立されました。
5回の焼失と再建を繰り返し、現在みられる塔は応永33年に再建されています。
本瓦葺きで大きく沿った軒は美しく、
奈良時代の特徴が残る造りになっています。
また、高さは50.1mと奈良の塔では一番高く、奈良を象徴する建物の一つです。
猿沢池のほとりから水面に映る五重塔の景色は美しく、
観光客や散歩中の方にも人気がありますし、
境内から間近で見上げていただくと、その大きさや力強い造りに心奪われます。
三重塔は、平安時代に崇徳天皇の中宮によって建立されました。
焼失後に再建され、境内の北円堂と共に興福寺最古の鎌倉時代の建物です。
平安時代の建築様式で再建されており、木割が細く優美な仕舞いに
四点柱をX状に結ぶ板には初層内部に細かな千躰仏や極彩色の文様の描かれた跡があり、
今の雰囲気とは異なる再建当時の華やかさが想像できます。
境内の一番低い位置にあるためか、大きく目立つことはありませんが、
趣ある佇まいはとても風情があります。
三重塔への道筋は木陰が心地よく、この時期には散歩コースとしてもお勧めです。
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五重塔と三重塔の同時公開は今回が初めてとなりますので、
お互いの塔を見比べながら、
涼しくなる秋に向けて散策していただくのもお勧めです。
9月に入り、[鹿の舟]の田んぼの風景も変化しています。
出穂し、きれいな穂をたくさんつけています。
陽射しを浴びて輝く稲穂をよく見ると、小さな白い花が咲いています。
お米の花はひとつで2時間ほどしか咲かないのですが、
その間に受精し、どんどん大きく育っていきます。
少しずつ成長していく稲穂に、日本の四季の移り変わりを感じます。