鹿の舟のいま

若草山焼き

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奈良の冬の伝統行事「若草山焼き」。

 

 

毎年第4土曜日に開催されており、今年は28日(土)に行われます。

 

一斉に火がつけられ若草山が徐々に赤く燃える様は、

息を呑むほどの美しさです。

 

 

この、若草山を赤く染める火は「春日の大とんど」から運んでいます。

 

「春日の大とんど」では、お昼過ぎから、

お正月に神社に持ち込まれたお正月飾りや古いお札、お守りを、

飛火野に設置した火炉でお焚き上げを行い、

無病息災や五穀豊穣を願います。

 

とんど焼きの炎は、高く燃え上がるほどご利益があるとされています。

 

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夕刻になると、春日の大とんどから御神火をもらいうけるため、

「御神火奉戴祭(ごしんかほうたいさい)」が行われます。

 

御神火は、金峯山寺の山伏である法螺衆に先導されるかたちで

時代行列によって若草山に運ばれます。

 

途中、水谷神社に設けられた松明点火場で

御神火をお松明に点火します。

 

お松明は石段を登り、若草山麓の野上神社に運ばれます。

野上神社の祭典では、かがり火が灯され

山焼きの無事を願う祭礼を行います。

 

そのまま、東大寺・興福寺・金峯山寺による読経が始まり、

山麓中央に設置された大かがり火に点火します。

 

その後、冬の夜空を彩る無数の花火が打ち上がり、

ホラ貝・ラッパの合図とともに、大かがり火からお松明に移された火で

草地に一斉に点火し、山を赤く染めていきます。

また、若草山の麓では点火の瞬間を間近で見ることができ、

臨場感を感じていただけますし、

少し離れて、平城宮跡や西ノ京にある大池から

若草山全体の眺めを楽しまれる方も多くおられます。

 

 

若草山焼きの起源は諸説あります。

 

若草山三重目の頂上にある巨大な前方後円墳「鷲塚古墳」では、

昔、古墳から幽霊が出てきて人々を怖がらせるという

迷信が長く続いていました。

 

そこで霊魂を鎮め、供養するために、東大寺、興福寺、奈良奉行所が

立ち会い、山を焼くようになったと言われています。

 

他にも、若草山を年内もしくは翌年の1月頃までに焼かなければ、

翌年に何か不祥事件が起こると考えた人による放火が続き、

東大寺の境内に火が迫ってくることもありました。

 

近隣社寺への延焼の危険もあり、

奈良全体の防災と人々との平安を祈るため、

あるいは春の芽生えを良くするための原始的な野焼きの遺風を

伝えたものであるという説もあるようです。

 

 

奈良の冬の風物詩をお楽しみください。

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