天井
木組みが美しい天井。![]()
時代を経て、飴色に変化した木材の風合いが、
繭の空間を温かく包み込んでくれています。
大正初期に建てられた和洋折衷の趣あるこの建物の中で、
ひときわ目を引くのが、ぜいたくに使われている
木材の数々ではないでしょうか。
入口を入ってすぐの空間にある、太く立派な梁や、
建物をずっと支えてくれている柱の数々・・・。
その中でも、見ごたえのある仕舞いの1つが天井です。
「観光案内所 繭」の天井は、数種類の様式を使い分けて仕上げられています。
読書室に設置された本棚の天井は、
「格(ごう)天井」といわれ、格縁(ごうぶち)と呼ばれる材を
縦横に組むことで正方形の模様を表す仕上げがされています。![]()
格縁の幅を変え、大小さまざまな四角が組み合わされている部分に
当時の施主のこだわりと遊び心が感じられます。
同じ格天井でも、2階の応接間に施されている格天井は、
また少し雰囲気が異なります。
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ガラスの窓枠に施されている格子と対になるような、
太く大きな格縁と、等間隔の正方形が印象的です。
端の部分は折り上げ格天井を思わせる、凝った造りがなされています。
格天井は、位の高い方が過ごす場所に用いられる様式です。
寺社や書院建築などでよく見られ、
奈良ホテルでも、格天井がお客さまを迎えてくれています。
格天井の格子の中に、細かい格子を組み込む「小組格天井」や、
天井の端の部分を支輪で少し高くした「折上小組格天井」もあり、
特に、将軍大名、門主の方々が過ごす部屋に用いられます。
1階の読書スペースや2階の和室は、「竿縁(さおぶち)天井」で
仕上げがなされています。
長い竿を並べたような見た目が特徴です。![]()
1階、2階、それぞれの部屋ごとに天井板の木目の使い分けがされています。
また、繭に2箇所ある床の間の天井も造り分けされており、
見えない場所にまでこだわる、施主の建物への想いが感じ取れます。
繭に来られた際は、少し目線を上に向けて、
天井の造りを楽しまれてはいかがでしょうか。