鹿の舟のいま

十輪院

梅雨の合間の昨日から今朝にかけて、青空が気持ち良く、晴れ渡っています。

[鹿の舟]では、庭を様々な花が彩り、蓮も青空に向かって花を咲かせていました。

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蕾も見られ、蓮の花が咲き始めると、夏の訪れを感じます。

奈良町を散策していると、十輪院で育てられている蓮にも、
ふっくらとした蕾を見かけるようになりました。

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南門に続く参道の脇に甕で育てられている蓮、
境内の庭園にある、はす池では蓮の葉が大きく育っています。

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十輪院は数々の著名人を魅了し、
森鴎外が詠んだ短歌「奈良五十首」の中には、

「なつかしき 十輪院は青き鳥 子等のたずぬる 老人(おいびと)の庭」

という歌があります。

また、ドイツの建築家ブルーノ・タウトは、
「忘れられた日本」の中で、十輪院のことを称賛しています。

このように人々に好まれる十輪院は、かつて元興寺の旧境内の南東に位置する一子院で、
寺伝によると、元正天皇(げんしょうてんのう)の勅願寺とされています。

こちらのご本尊は「石仏龕(がん)」です。

「龕」は、仏像を納めるための厨子を指し、
石造の地蔵菩薩と併せて「「石仏龕」と言います。

この地蔵菩薩の左右には、釈迦如来と弥勒菩薩を中心に、石造に浮き彫りが施されており、
他の寺院のご本尊とは一線を画しており、とても見応えがあります。

また、ご本尊の石仏以外にも、境内を散策すると、
「興福寺曼荼羅」や「不動明王」「伊勢大明神」をはじめ
石造で造られた曼荼羅や仏さま、お社などを見かけます。

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この十輪院の境内の東の隅には、ひと際新しいお茶室があります。

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「頻婆果亭(びんばかてい)」と名付けられたこちらのお茶室では、
お茶を通して生きる力を感じられるようにと、
頻婆という赤い実をつけるインドの植物になぞらえて、
室内の壁が赤褐色で仕上げられています。
お茶室は拝観や利用も可能です。

また、境内の散策も風情がありお勧めですが、
それ以外にも、毎朝、十輪院では、毎朝の作務(清掃)と、
その後にある「朝のお勤め」を公開されており、

こちらは、どなたでも自由に参加することができ、
ご住職や僧侶の皆さまと般若心経をお唱えします。

朝から唱えるお経は、心をすーっと落ち着かせてくれます。

これから夏本番を迎えると、少し散策をしただけでも汗が滴りますが、
朝晩は比較的過ごしやすい陽気が続きます。

少し早起きをして勤行に参加し、境内を愛でるのも奈良の愉しみ方の一つです。

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