鹿の舟のいま

大和いも

「大和いも」は、大和野菜として認定をされている、
奈良で長く愛されている野菜の一つです。

歴史は古く、正倉院の古文書に、天皇へ献上されていた記録があることや、
江戸時代の農書にも、県内で生産されていたことがわかる記述があります。

現在の主な産地は御所市や天理市で、収穫率をあげるための栽培活動もさかんに行われています。

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独特の粘り気を持ち、すってほかほかのご飯にかけても、刻んで和えてもおいしい万能の野菜です。

火を通すとふんわりとふくらむため、粉もののおかずにも重宝します。

「とろろ」として火を通さず食べられる珍しい芋で有名ですが、
同じ食べ方ができる仲間に、長芋やイチョウ芋などがあります。

実はそれぞれ違う種類の芋であるということをご存じでしょうか。


一般的に、とろろとして食べられる芋を総称して「山の芋」と呼ばれます。

どれもヤマノイモ科に属する植物ですが、それぞれ品種が異なります。

全国的に「大和芋」として見かける白くて平らな芋はいちょう芋の一種で、
今回ご紹介するものとはまた別の種類となります。

大和いもは、つくね芋という品種であり、見た目も異なり、黒っぽいげんこつ型です。

品種によって風味や粘りにも違いがあります。

例えば、長芋は水分が多くさらっとしていますが、大和いもは、なめらかな粘り気があります。


また、ヤマノイモ科の芋は栄養も豊富で漢方として利用もされています。

「山薬」とも呼ばれ、滋養強壮の効能があるとされています。


梁塵秘抄(りょうじんひしょう)という、11世紀から12世紀頃の流行歌集にも

「すごき山伏の好むものは、(中略)山の藷(いも)、山葵・かし米水しづく。沢には根芹とか」

とあり、厳しい修行に励む山伏も食していたことが分かります。


食堂 竈」では、朝ごはんに、この栄養満点の大和いもを
山かけにして、ご飯のおともとしてお召し上がりいただけます。

一日の元気なスタートにいかがでしょうか。

大和いも(5).JPG



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