鹿の舟のいま

桔梗


本格的に夏が到来し、全国的に猛暑日が続いています。
陽ざしも強いため、[鹿の舟]がある奈良町でも、日傘をさして歩かれる方をよく見かけます。


そんな中、涼しげな色、すっと茎が伸びて凛とした姿の花「桔梗」が時期を迎えました。
[鹿の舟]でも、青紫色の花をご覧いただけます。

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桔梗は6月から8月にかけて咲きます。
現代では夏に咲く花ですが、万葉集では「秋の七草」の一つとして数えられています。


同歌集の中で、山上憶良が選定したと言われており、その顔ぶれは、
萩、薄(すすき)、撫子、葛、藤袴(ふじばかま)、女郎花(おみなえし)
そして、文字上は朝顔とされていますが、一説には、こちらが桔梗と考えられています。


七草粥でおなじみの「春の七草」をご存じのかたも多いと思いますが、
秋の七草は、見て楽しむということに主眼を置いているそうです。


星形の花びらも個性があって素敵ですし、
開花前のつぼみも、風船のようなかわいらしい形をしており、私たちの目を楽しませてくれます。


また、その気品を感じさせる姿から、
貴族や武将などの家紋のモチーフとしても人気がありました。


このように、古来、愛される桔梗は、
特に西日本の寺院を中心に、名所がいくつかあります。

そのうちの一つが、元興寺です。
浮図田(ふとでん)と呼ばれる、境内の石仏群の中に、桔梗が美しく咲いています。

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大切な人をしのぶため、桔梗の花が優しく寄り添っています。

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境内の至るところに、供えられています。

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青紫色の花をはじめ、柔らかい白色の花もあります。

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本年の夏は大変暑く、見頃の時期が前後する可能性がありますが、
奈良へお越しの際は、十分な暑さ対策をされ、
万葉の時代から愛された桔梗を、ぜひご覧くださいませ。


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