鹿の舟のいま

長谷寺

長谷寺外観.jpg


奈良市内から車で約1時間のところにある、桜井市・初瀬。

「こもりくの 初瀬の山に 照る月は 満ち欠けしけり 人の常なき」と

古くから万葉歌にも詠まれている、歴史ある場所。
こもりくとは「山に囲まれた地」を表し、初瀬にかかる枕詞です。

そんな自然豊かな地に、長谷寺はあります。


長谷寺は、朱鳥元年(686年)に道明上人が
天武天皇の為に金銅の「銅板法華説相図」を作り

今の五重塔の近くの西の岡に安置したことが始まりとされ、

のち、神亀4年(727年)に徳道上人が

聖武天皇からご本尊・十一面観世音菩薩造立の聖勅を賜り、

東の岡に祀りました。


平安時代には貴族の間で長谷詣でが行われていたそうで、

「源氏物語」や「枕草子」にも登場します。

長谷寺には魅力がたくさんあります。

今回は少し見所をご紹介します。


門前町を抜け、仁王門をくぐるとまず目に飛び込んでくる、登廊。

全部で399段の本堂まで続く、長くゆるやかな石段であり、

上中下の三廊に分かれています。

1039年に春日大社の社司中臣信清が

子の病気平癒の御礼に造立したことに始まるそうです。

登廊には長谷型灯籠が吊るされており、

その形は可愛らしくも雅でもあります。


登廊の両脇には季節の花が咲き、本堂へたどり着くまでの間も

参拝者の目を楽しませてくれます。

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登廊の先にある本堂では、ご本尊である十一面観世音菩薩様が

参拝者を出迎えてくださいます。


日本最大の木造の仏像で、10メートルを超える大きさです。

左手に水瓶、右手に錫杖を持ち、大盤石に立つ「長谷式観音」と呼ばれます。

幾度となく焼失と復興を繰り返しており、現在の像は8代目となります。

春と秋の本尊大観音尊特別拝観の際には普段は入れない本堂へ入ることができ、

観音様のお御足に触れて結縁ができます。


観音様のお御足はつるつると光っており
これまで多くの参拝者が触れてきたのだとわかります。



さらに本堂には、境内と周辺の山々を一望できる外舞台があり、

ここで写真を撮ったり、景色を眺めたりと、ゆったりとした時間を過ごせます。


舞台.jpg


また、長谷寺は「花の御寺」とも呼ばれるほど

境内の至る所に季節の花が見られます。


春には桜や牡丹、つつじが咲き、

夏になると紫陽花や花菖蒲が境内を彩ります。

秋には紅葉が色づき、

冬は寒牡丹が藁囲いを被って寒さをしのぐ姿も見られます。

紅葉.jpg


寒牡丹.jpg


特に長谷寺の牡丹は、唐の皇妃・馬頭夫人が、観音様の霊験を得たお礼に

献木したのが始まりと言われており、春には「ぼたん祭り」が開催され

とても賑わいます。


見所いっぱいの長谷寺。

春夏秋冬いろいろな季節に出かけてみてはいかがでしょうか。

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