大和の夕映え
山笑う、爽やかな季節になりました。
今回は少し鹿の舟から足を延ばし、
ロマン溢れる奈良の美しい夕映えをご紹介します。
鹿の舟からは車で南に40分程、桜井市に日本最古と言われる
大神神社(おおみわじんじゃ)があります。
大神神社から天理方面に向かって古道山の辺の道を20分程歩くと、
摂社である檜原神社(ひばらじんじゃ)にたどり着きます。
毎年、春分と秋分の頃に注連縄越しに二上山の雄岳(おだけ)
と雌岳(めだけ)の真ん中に陽が落ちる幻想的な風景が見られます。
自然と歴史ある建造物が調和しているところが奈良の魅力の一つで、
夕焼けは息を呑むほどの絶景です。
古代の人々も同じ風景を目にし、手を合わせていたのではないでしょうか。
檜原神社の御祭神は天照大御神(あまてらすおおみかみ)、
伊弉諾尊(いざなぎのみこと)、伊弉冊尊(いざなみのみこと)。
崇神天皇の時代まで宮中にお祀りしていた天照大御神を
豊鍬入姫命(とよすきいりひめのみこと)に託して、
この檜原神社の地に磯城神籬(しきひもろぎ)を立てて祀った
倭笠縫邑(やまとかさぬいむら)と言われています。
伊勢に遷った後も、その跡を尊崇し、檜原神社として引き続き祀り、
元伊勢として伝えられています。
檜原神社は本殿も拝殿もなく、少し変わった三つの鳥居が連なった
三ツ鳥居越しに拝みます。伊勢神宮の式年遷宮時の古材を譲り受け、
建てられたそうです。
大神神社は三輪山をご神体とし、三ツ鳥居がありますが、
拝殿の後ろにあり、そちらは普段は目にすることはできません。
左隣には末社豊鍬入姫宮があります。
鳥居前の道を西に進むと井寺池があり、こちらからは大和平野が
広がります。二つの池の間からは西の方に生駒山、二上山、葛城山、
金剛山、大和三山が望めます。
多くの遺跡が発掘され、邪馬台国の有力候補地と言われている巻向遺跡や
孝霊天皇の皇女である倭迹迹日百襲姫命(やまととひももそひめのみこと)
の陵墓である箸墓古墳も望めます。
箸墓古墳は全長280mの前方後円墳で、卑弥呼の墓ではないか
とも言われており、ロマンに満ちたまほろばの地です。
古道山の辺の道を歩くのにぴったりな、風が心地よい季節です。
ぜひ一度、この風景を見に訪れてみてはいかがでしょうか?