鹿の舟のいま

大和の茶粥

茶粥.JPG

 

 

「大和の朝は茶粥で明ける」

 

 

奈良では昔から日常的に茶粥が食されてきました。

 

 

奈良では、お米や冷ご飯を使い、

そこに木綿でできた茶袋に入れた粉茶で炊き出して作ります。

 

「入れお粥」は、前日の夜に炊いた冷ご飯を使う茶粥、

「揚げお粥」は、お米から炊く茶粥のことを言います。

 

お寺では、仏さまにお供えしたご飯を

入れお粥にしていただく習慣もあるようです。

 

お粥は親しみを込めて「おかい」「おかいさん」とも呼ばれています。

 

 

家庭によって、ほうじ茶や緑茶を使用していたり、

作り方や味にも違いがあり、各家庭の味が生まれています。

 

「大和の茶粥、京の白粥、河内のどろ喰い」

 

とも言われ、地域によって固さや食べ方も様々なお粥ですが、

奈良の茶粥は、水分が多く粘りけがないため、

さらさらとした口当たりが特徴です。

 

奈良漬をはじめ、お漬物やお塩を合わせてお好みの味に調整をしたり、

かきもちや豆類、栗、さつま芋などと合わせ、

季節感や食感を楽しみながら味うことも。

 

冷え込む冬には、熱い茶粥で体を温め、

夏になれば、冷やした茶粥が火照った体を冷ましてくれます。

 

 

奈良時代、聖武天皇が東大寺で大仏さまをお造りになる際、

民衆はお粥を食べ、お米を温存して造営を手伝っており、

それ以降、奈良では茶粥を食べるようになったと言われています。

 

 

奈良の春の訪れを感じさせる東大寺二月堂の修二会。

 

練行衆の毎日の食事としても、茶粥は食されてきました。

 

期間中の練行衆の食事の献立を記したものに

「あげ茶」「ごぼ」などの記録が残っています。

 

「あげ茶」は、茶粥を煮て汁を取り去ったもの、

「ごぼ」は、茶粥の汁の多いものを言い

こちらの茶粥は、番茶仕立てになっています。

 

修二会の際には、郷土料理「奈良茶飯」も僧食として

茶粥と共に食べられていたようです。

 

「奈良茶飯」は、お米に栗、小豆、大豆や粟などを

お茶の煎じ汁で炊いた炊きこみご飯を言いますが、

昔は、寺領から納められたお茶を煎じ、初煎と再煎に分け、

塩味を付け再煎のお茶で炊いたご飯を、

初煎に浸けて食べていたようです。

 

 

「観光案内所 繭」では、

今週末に「茶がゆ教室」が開催予定となっており、

茶粥の作り方や歴史に触れていただく機会を設けました。

また、茶粥を提供しているお店のご案内も日々行っています。 

 

 

奈良の食文化は、長い時代を経た今も、

時代に合わせた味付けで親しまれています。

 

皆さまも、これを機に大和の茶粥をご堪能ください。

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