鹿の舟のいま

光仁会

南都七大寺の一つ「大安寺」。

大安寺02.jpg


大寒を迎え、雪の舞い散る1月23日に、
大安寺で、光仁天皇ゆかりの催事「光仁会」が行われました。

光仁会は別名「癌封じ笹酒祭り」とも言われています。


光仁天皇は62歳から73歳の間に即位されており、
当時の寿命で考えると、とても長寿なお方でした。

奈良時代、光仁天皇が皇位に就く前の白壁王と呼ばれていた頃から、
中国の「林間酒をあたためる」という故事に因み、
大安寺の竹林で浄竹を切り、そこにお酒を注いで温めて飲んでおられたそうです。

このことが光仁天皇の健康の秘訣とされ、悪病難病を封じて、
健康に過ごせるようにとの思いを込めて、光仁会が催されるようになりました。

また、「続日本紀」の故事によると、
桓武天皇が、父親である光仁天皇の一周忌の法要を大安寺で行った日が
1月23日とされており、この日に光仁会が催されるようになりました。


当日は、早朝から光仁天皇御忌法要、続けて癌封じの祈祷が行われ、
光仁天皇ゆかりの笹酒の接待があります。

竹筒に入ったお酒は焚き火で温められ、
着物姿の女性から青竹の盃に注いでもらい、いただくことができます。

笹酒01.jpg


境内の奥に位置する、いななき堂で特別祈祷を受けた方の竹盃は、
少し異なる形をしています。

笹酒02.JPG


また、境内や参道には屋台が連なり、奈良の名物が販売されています。

その屋台の中の一つでは、「大安寺やきもち」が販売されています。

日本に饅頭の作り方を伝えた林浄因という方が大安寺に饅頭を奉納しており、
当時の味を、奈良町の和菓子屋さんが再興していました。

大安寺やきもち.jpg


[鹿の舟]のある井上町のすぐ東に位置する、井上神社でお祀りしている井上内親王は、
光仁天皇のお后ということもあり、光仁天皇とのご縁を感じます。


当日は寒空の下でしたが、大安寺は健康を願う方々の熱気に包まれていました。

鹿の舟ページへ戻る

日本語   |   English