鹿の舟のいま

日本酒発祥の地

先週の杉玉に続き、お酒のお話しです。

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諸説あるようですが、奈良が日本酒発祥の地のひとつ

であることは確かなようです。


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古事記や日本書紀には醸造した御神酒(おみき)を

天皇に献上した記録が残っており、飛鳥・奈良時代には朝廷に

造酒司(みきのつかさ)が置かれ、役所が酒造りをしていました。


都が京都に移った後は朝廷から寺院に酒造りは引き継がれ、

「僧坊酒(そうぼうしゅ)」と呼ばれるようになりました。


この時期に醸造方法も発展し、お酒の質が大きく向上します。

にごり酒から透明な、いわゆる清酒も出来るようになりました。


数ある「僧坊酒」の中でも奈良のものは質が高く、

江戸時代初期までの長きにわたり高い名声を得ていたようです。


当時の大寺院は知力や技術、資本も集まる場所であり、

今日の企業や研究所のような役割を担っていたのですね。

海外の修道院などでも、ぶどう酒の醸造などが行われていたので

世界的な傾向と言えるかもしれません。


室町時代には奈良市の菩提山正暦寺が「菩提酛(ぼだいもと)」

と呼ばれる酵母をふんだんに含む酒母(しゅぼ)を開発したことで

大量の酒造りが可能となり、近代醸造の基礎をつくりました。


恵まれた大和の自然が育む清水と良質の米、

そして大陸からわたってきた人々の技術も

大きな助けとなったのでしょう。

「菩提酛」は明治時代に広まった「速醸酛(そくじょうもと)」

により、大正時代には消滅したと言われていました。

しかし、近年奈良の酒造組合が「菩提酛」を使った清酒を

500年ぶりに復活させました。

各蔵元が持ち帰り、それぞれの銘柄で販売されています。

どれも個性豊かな濃醇旨口の純米酒だそうです。



菩提山正暦寺はこの時期3000本を超える楓が色づき、

「錦の里」と呼ばれるほど美しい紅葉でも有名です。

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また1000株以上の鮮やかに色づいた南天の実も

冬にかけて私たちの目を楽しませてくれます。

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紅葉狩りの後は奈良の歴史を感じさせるお酒を

ゆっくり楽しんでみてはいがかでしょうか。

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