鹿の舟のいま

2020 年末のご挨拶 

ごく当たり前の日常がとても貴重なものに感じられた
波乱の一年も、いよいよ暮れようとしております。

大掃除を終えた[鹿の舟]では、例年通りにお正月飾りを取り付け、
新しい年を迎える準備が整いました。


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今年も、各地から多くの方々にお運びいただき、
心より感謝いたしております。


皆さまには、お食事や喫茶を楽しんでいただき、
奈良の情報をお持ち帰りいただくことができましたでしょうか。

心地よい時間をお過ごしいただける場所として
これからも[鹿の舟]をご利用いただけましたら幸いです。

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ここのところ、四季折々に表情を変える庭を楽しみに
お出掛けくださる方も増えました。


秋頃になると、「観光案内所 繭」の家屋東壁際に立つ大きな木について
「あれは何の木ですか」と尋ねていただくことがよくあります。

答えは「もちの木」です。

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冬枯れてゆく庭の中で、深い緑にたわわに実る真っ赤な果実の
取り合わせが美しく、目を引きます。

写真を撮られる方も多く、人気の看板娘のようです。

雌雄異株であるため、果実は雌木にしかならないそうです。

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「もちの木」はかつて、子どもたちに親しまれていた木のようです。

小鳥や昆虫を捕まえるのに使う「鳥もち」は、この木の樹皮から作り、
「もちの木」という名前もそこに由来します。

児童文学の傑作として知られる『だれも知らない小さな国』(佐藤さとる)
には、「もちの木の皮をしばらく水にさらし、すりつぶしながら、
かすをあらい流していくと、上等のとりもちができる」とあります。

この物語は、主人公の小学校三年生の男の子が、
年うえのがき大将率いる仲間たちと、町はずれにもちの木を
探しに行くところから始まります。

せっかく皆で見つけたもちの木でしたが、
大将が利用権を独占したため、男の子は
自分だけのもちの木を一人で探そうと考えるのです。

そうして秘密の小山を発見し、それがその後の
貴重な出会い、経験へと発展してゆきます。

もちの木が、物語の発端として描かれています。

大きなもちの木の寄り添う「観光案内所 繭」も、

皆さまが旅先で経験される貴重な物語への

発端となる場でありたいと願っております。

奈良町だけでなく県内各方面の情報を

できるだけ豊富に取り揃えて

皆さまのお越しをお待ちいたしております。

「食堂 竈」「レストラン 囀」は、27日(日)から元日(金)まで

年末年始のお休みをいただいておりますが、

「観光案内所 繭」は年中無休で皆さまをお迎えいたします。

奈良町散策の折には是非お立ち寄りください。

来る2021年が、佳き一年となりますように。






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